「最近、自転車のブレーキが甘い気がする」
「雨の日にブレーキを握っても、ツルツル滑って止まらない」
もし今、こんな状態の自転車に乗っているなら、今すぐ乗るのをやめろ!
それは自転車じゃなくて、ただの「走る凶器」だ。
俺は過去に、ブレーキのメンテナンスを舐めていて、マジで死にかけたことがある。
あれはチャリに乗り出した頃、多摩地域の自転車乗りの聖地「尾根幹(南多摩尾根幹線)」を走っていた時のことだ。
ゲリラ豪雨に見舞われ、ずぶ濡れになりながら長い下り坂を走っていた。
前方の交差点の信号が赤になったので、ブレーキレバーを思いっきり握ったんだ。
ところが……まったく減速しない!!!
俺が乗っていたのは、昔ながらのママチャリによくある「ステンレスリム」の車体だった。
雨に濡れたステンレスリムは、ブレーキシューがツルツル滑って、冗談抜きで一切効かない。
時速30キロ近いスピードのまま、交差点に突っ込みそうになった。
「このまま直進したら車に跳ね飛ばされて死ぬ!」
そう直感した俺は、信号無視になるのを覚悟で、右から来る車の合間を縫ってセンターラインまで膨らみながら、無理やり左折して逃れた。
あの時の生きた心地がしなかった恐怖は、今でも鮮明に覚えている。
自転車のブレーキが効かないというのは、そういうことだ。
足をついて止まればいい?飛び降りればいい?
バカ言っちゃいけない。時速10キロ未満ならともかく、スピードが出ている状態でそんなことをしたら大怪我するだけだ。
今回は、命を守るための自転車ブレーキの完全メンテナンスガイドだ。
ブレーキシューの交換、ワイヤーの交換、そしてローラーブレーキのグリスアップまで、ショップに頼まず自分でやる方法を徹底的に解説する。
雨の日に死なないための必須テクニック「あて効き」
メンテナンスの話に入る前に、絶対に知っておくべきテクニックがある。
それが「あて効き」だ。
俺が尾根幹で死にかけた最大の理由は、この「あて効き」を知らなかったことにある。
自転車のブレーキ(特にリムブレーキと呼ばれる、車輪の縁をゴムで挟んで止めるタイプ)は、雨に濡れると極端に効きが悪くなる。
特に安価なママチャリに多い「ステンレスリム」は最悪で、水が膜を作ってしまい、ブレーキレバーをどれだけ強く握ってもシューが滑り続けるんだ。
これを防ぐためのテクニックが「あて効き」だ。
雨の中を走っている時、完全にブレーキをかける前に、レバーを軽く(減速しない程度に)握って、シューをリムに軽く接触させながら走る。
こうすることで、リムに付着した水滴や泥をシューが拭き取ってくれる。
水が飛んだ状態を作ってから、本気でレバーを握り込む。これが「あて効き」だ。
これはステンレスリムに限った話じゃない。アルミリムだろうが何だろうが、雨の日は必ず効きが悪くなる。
雨の日に乗るなら、時々この「あて効き」を行って、リムの水を飛ばしておく習慣をつけろ。これだけで生存確率が劇的に上がるぞ。
ブレーキが効かない3つの原因
ブレーキが甘くなる原因は、大きく分けて3つしかない。
1. ブレーキシューの摩耗
車輪を挟んで止めるゴムの部品(ブレーキシュー)は、消しゴムと同じで使えば使うほど削れていく。表面の溝がなくなってツルツルになっていたら、もう寿命だ。
またブレーキをかける度に、ホイールとの摩擦熱でゴムが弾力を失って硬化してしまうんだ。
そうなるとほとんど効かなくなる、これは実際にゴム面を触ってみて石や鉄のように固くなっていたら限界だ。
2. ブレーキワイヤーの伸び・サビ・切れ
ブレーキレバーと本体を繋いでいる金属のワイヤーは、長期間使っていると伸びてくる。
伸びるとレバーを奥まで握り込まないと効かなくなる。
さらに怖いのが「サビ」と「切れ」だ。ワイヤーが切れるタイミングというのは、皮肉なことに「下り坂で一番強くレバーを握り込んだ瞬間」にやってくる。一番ブレーキが必要な時に切れるんだからタチが悪い。
3. ローラーブレーキのグリス切れ
最近のママチャリや電動アシスト自転車の後輪に多く採用されているのが「ローラーブレーキ」だ。
「キーキー」「キーッ!」という不快な金属音が鳴り始めたら、それは内部の専用グリスが切れている証拠だ。そのまま放置すると内部が焼き付いて、ブレーキごと交換という高い出費になる。
ブレーキシューの交換と絶対注意すべき「バーストの恐怖」
ブレーキシューの交換は、六角レンチ(アーレンキー)さえあれば誰でもできる。
Vブレーキ(クロスバイクなどに多い)でも、ママチャリの前輪用キャリパーブレーキでも、基本は同じだ。
交換のタイミング
シューの表面を見てみろ。水はけ用の「溝」が掘られているはずだ。
この溝が消えかかっている、あるいは完全に平らになっていたら即交換。
また、ホイールと接触するゴム面を触ってみて石や鉄のように固くなっていたらそれもまた即交換だ!
交換手順(超基本)
- 古いシューを固定している六角ボルト(またはナット)を緩めて外す。
- 新しいシューを取り付ける。この時、左右の向きと前後の指定(矢印が書いてある)を絶対に間違えるな。
- ブレーキレバーを軽く握りながら、シューがリムにピタッと当たる位置でボルトを本締めする。
【警告】シューの固定位置をミスるとタイヤが爆発する!
ここで、俺の友人がやらかした大失敗を共有しておく。
絶対に、シューは完全にリム(金属部分)だけに当たるように固定しろ!
間違っても、シューの上端がタイヤのゴム部分に触れるような位置で固定してはいけない。
しまなみ海道のツーリングに行った時のことだ。
同行した友人が、シューの固定が甘いまま輪行(自転車を袋に入れて電車に乗ること)をした結果、衝撃でシューの角度がズレてしまった。
それに気づかず走り出した結果、ブレーキをかけるたびにシューがタイヤのサイドウォール(側面)をガリガリと削り続け……。
パーーーーン!!!
見事にタイヤのサイドがバースト(破裂)した。
翌日の早朝、泣きそうになりながらサイクルショップに駆け込んで、高いタイヤを丸ごと買い直すハメになったんだ。
シューを固定したら、必ず車輪を回してブレーキをかけ、「シューがタイヤに1ミリも触れていないか」を死ぬ気で確認しろ!
シマノ製のVブレーキ用シュー。安物の謎メーカー品は雨の日に全く効かないから、命を預けるブレーキ周りだけは絶対にシマノ製などの信頼できるメーカーを選べ!
音鳴りせず、ギュッと止まるブレーキシューは安全だし気持ちが良い!
ブレーキワイヤーの交換(アウターとインナー)
ワイヤーの交換も、実はそんなに難しくない。
ただし、ロードバイクのようにワイヤーがフレームの中を通っている(インナーケーブルルーティング)タイプは、素人がやると発狂するレベルで面倒くさいので、おとなしくショップに金を出して頼むのが正解だ。
外にワイヤーが露出しているママチャリやクロスバイクなら、自分でできる。
アウターとインナーの違い
ブレーキワイヤーは2層構造になっている。
外側の黒やグレーのチューブが「アウターケーブル」。
その中を通っている銀色の金属線が「インナーケーブル」だ。
レバーの引きが重くなってきたら、インナーケーブルが錆びているか、ほつれて切れかかっているサインだ。
インナーケーブルだけ交換してもいいが、どうせならアウターごとセットで交換した方が、新品の自転車のようにレバーがスッと軽くなるぞ。
交換のコツ
古いワイヤーを引き抜く前に、「どこをどう通っていたか」をスマホで何枚も写真を撮っておけ。
これを怠ると、新しいワイヤーを通す時に「あれ?ここから右だっけ?左だっけ?」と絶望することになる。
また、ワイヤーを切断するには専用の「ワイヤーカッター」が必要だ。普通のペンチやニッパーで切ろうとすると、ワイヤーがほつれて使い物にならなくなるから絶対にやめろ。
それにワイヤーは鋼鉄製なのでめちゃくちゃ硬い!!ペンチやニッパーなどの普通の工具の方が柔らかいので1度使うと、その工具は使い物にならなくなり捨てることになるぞ!
悪いことは言わない、素直にワイヤー専用カッターを買っておけ!
ブレーキは命を預けるものだから、信頼と実績のブランドを選びたい!
切断面の滑らかさが信頼の証!(切るだけなら安いものでもOKだが、スパッと切れて、切断面が綺麗ということは切ったワイヤーがほつれ難いということなんだ、これ重要!)
ローラーブレーキの「キーキー音」はグリス注入で一発解決!
電動アシスト自転車や、内装変速機付きのママチャリの後輪についている、丸い円盤状のブレーキ。これが「ローラーブレーキ」だ。
このブレーキの最大のメリットは「雨の日でもしっかり効く」こと。
だが、長年乗っていると内部のグリスが減ってきて、ブレーキをかけるたびに「キーキー!」と耳障りな音を立てるようになる。
これを「ただ音がうるさいだけ」と放置してはいけない。
金属同士が直接こすれ合っている状態なので、そのまま乗っていると内部が焼き付いて完全に壊れる。
壊れたら後輪を外してのブレーキ本体交換となり、ショップに頼むと1万円コースの痛い出費になるぞ。
ローラーブレーキ専用グリスの注入
解決策は超簡単だ。
ローラーブレーキの本体横に、小さな黒いゴムキャップがついている。
これを外し、そこに「ローラーブレーキ専用グリス」のノズルを突っ込んで、チューブをギュッと絞って注入するだけだ。
注入しながら車輪をゆっくり回して、内部にグリスを行き渡らせる。
これだけで、あの不快なキーキー音が嘘のように消え去る。
作業時間はたったの3分。自分でやればグリス代の数百円で済む。
シマノのローラーブレーキ専用グリス。普通のグリス(クレ556とか)を絶対に吹きかけるなよ!ブレーキが滑って完全に効かなくなり、最悪死ぬぞ!
ローラーブレーキ用オイルはシマノのコレが常識!(俺もこれしか使わない!)
必須工具:六角レンチ(アーレンキー)
ブレーキシューの交換やワイヤーの固定など、自転車のメンテナンスの9割は「六角レンチ」(自転車界ではアーレーンキーと呼ぶことが多い)で行う。
100均の安い六角レンチは絶対に使うな。精度が悪くてネジ穴を舐めて(潰して)しまい、二度と外せなくなる。
ちゃんとしたメーカーの六角レンチセットを1つ買っておけば、一生使えるぞ。
精度の高い六角レンチセット。自転車いじりの基本中の基本だ。
精度が重要なので、日本製が賢い選択だ!工具が良いと作業が楽なんだぜ!
まとめ:ブレーキだけは絶対に妥協するな
自転車のメンテナンスで、一番優先順位が高いのは間違いなく「ブレーキ」だ。
チェーンが錆びていようが、ギアが変速しなかろうが、自転車は前に進まないか遅いだけで済む。
だが、ブレーキが効かない自転車は、お前自身の命を奪い、最悪の場合は他人の命まで奪う。
「ちょっと効きが悪いな」と感じたら、今日教えた手順でシューとワイヤーを点検しろ。
自分でやる自信がないなら、今すぐショップに持ち込んで金を出して直してもらえ。
命の値段に比べたら、ブレーキ修理代なんて安いもんだ!
坂を下っていたら前の信号が赤、ブレーキレバーを握る…ブレーキワイヤーが「プツン!」と切れて、レバーがスカスカになった時の恐怖をお前は体験してみたいかい?







